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西浦会トップ > 精神医療へのとりくみ > 評価スケール Last modified : 2006-11-28

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京阪病院式精神科病院入院患者評価スケールについて

医療法人西浦会 理事長 西浦信博・同 保健福祉部 三浦康司

はじめに

 近年、精神障害者の社会復帰の促進が大きな社会的課題となっています。当院においては、この数年間、社会復帰を最重要課題と位置づけ、生活訓練施設や福祉ホームB型、精神科訪問看護ステーション等を併設し、社会復帰に向けた積極的な取組みを展開してきました。

 そして当院では、入院患者と退院者の選別が可能となる何らかのメルクマールとなるものとして、「数値」でその評価を行うため、自己の状態を客観的に判定できる「京阪病院式精神科病院入院患者評価尺度(Keihan hospital's assessment scale for psychiatric inpatient;KAS)(京阪病院式評価スケール)」を開発し、運用しております。

京阪病院式評価スケールの計算原理

 社会復帰に関する事項として「重症度」(精神症状)、「生活自立度」、「社会資源」並びに「レディネス」(心理的準備状態)について調査します。

  •  「重症度」は「在院患者分類基準表」を用いて、(A)最重度、(B)重度、(C)中等度、(D)軽度、(E)院内寛解、(F)寛解の6段階にて評価を行います。(表1)
  •  「生活自立度」は大阪府立中宮病院で使用されていた評価基準を参考にして、(1)全く自立できない状態から(4)概ね自立した状態までの4段階で評価します。(表2)
  •  「社会資源」については居住場所の有無、支援者の有無より4段階の評定を行います(表3)
  •  「レディネス」は、社会復帰への意欲、知識情報、自信(自己効力感)、不安、家族の理解協力のレベルをそれぞれ4段階にて評定します。(表4)

 これらの評定された点数は、まず、退院を規定する要因となる「精神症状」(重症度)、「生活自立度」、「社会資源」から、3次元マトリックスにて5点〜80点(3次元得点)へと得点化を行います。さらに、レディネスに関する5項目についてそれぞれ4段階のリッカートスケールを用いて、得点を合計することでレディネス尺度を作成し、5点〜20点の得点化(レディネス尺度得点)を行います。

 3次元得点とレディネス尺度得点を合計(総合得点)することによって、100点満点の評価スケールが得られます。(図1)

測定結果

 京阪病院式評価スケールを当院において実際に用いることにより、次のようなデータが得られました。

 3次元得点とレディネス尺度得点の合計より算出される総合得点について、その得点は10点〜95点を示しました。総合得点の平均値は57.37点です。(図2)

 京阪病院式評価スケールの総合得点について、入院患者群と退院者群の比較では、入院患者群の平均値は53.74点、退院者群はその平均値が72.81点であり、統計的に有意な差(p<=0.0001)が認められました。

 入院患者を一般病床群と療養病床群にわけて退院者群と比較したところ、一般病棟群の平均値は47.30点、療養病棟群は58.42点を示し、総合得点と対象グループとの間には統計的に有意な差(p<=0.0001)が認められました。さらに、退院者群を生活訓練施設群(援護寮)と一般退院者群にわけて検証した結果、総合得点と対象グループとの間にも統計的に有意な差(p<=0.0001)が認められています。(図3)

 本院の場合、退院へ向けてのカットオフポイントは約70点であることがわかっています。

京阪病院式評価スケールを用いることによるメリット

 京阪病院式評価スケールを用いれば、長期入院患者を含めた入院患者の全般的な管理が可能となります。例えば、入院患者の個々の状況把握をはじめ、病棟ごと、疾病ごとなどの状況把握が可能となって、病院運営の基礎データとしての活用にも期待できます。

 また、時系列的評価によって治療効果判定の補助資料としても活用可能となります。さらに、医師をリーダーとした看護師、作業療法士、ソーシャルワーカー等々による総合カンファレンスの基礎データとして活用していくことができるため、長期入院患者の退院促進に欠かせない「チーム医療」実践のための非常に有効なツールになります。


 京阪病院式評価スケールについては、「日本精神病院協会雑誌 第22巻 第4号(2003年4月)」に詳細が掲載されております。


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